『マチルダ』ポール・ギャリコ 感想文

なんとボクシングをするカンガルー、マチルダ。
田舎の祭りの催しで、ミドル級チャンピオンのドカティをノックアウトしてしまう。
そこに有名新聞記者のパークハーストが居合わせたせいで、一躍有名に。
マチルダをめぐり、マフィアも巻き込んで、周囲の人々はジタバタ劇を繰り広げる。
そしてクライマックス、マチルダvsドカティの正式なタイトル戦へ。

とても面白かったです。小説の醍醐味が、惜しげもない山盛りでした。
まず挙げるべきが、もちろんマチルダ。極端な擬人化などしていないのに、なんだかめちゃくちゃ面白くてにやにやしてしまう。マチルダの強さと愛らしい様がユーモラスに描かれていて、正直これだけでも読んでお得まちがいなしです。
でもそれだけではなく。
ストーリーラインが見事なまでに賑やかで、短くない作品ですが中だるみとは無縁。全然飽きません。
そこに深く関わるのが、マフィアを牛耳るアンクル・ノノの存在。ここはあえて「アンクル・ノノ vs パークハースト」と独立させたい。ふたりの静かな攻防がじわじわと牽引力を発揮し、どうなっちゃうんだろうとどんどん読み進めてしまいます。

結局悪い人いないんだねという結末を、ひねくれ者の私でも受け入れられました。
清濁まるっと併せ呑みっぷりが見事なのと、やはりマチルダというキャラクターの勝利かな……。

 

マチルダ―ボクシング・カンガルーの冒険 (創元推理文庫)

マチルダ―ボクシング・カンガルーの冒険 (創元推理文庫)